第18章 結婚するよ

10/45
前へ
/85ページ
次へ
高松くんはわたしの目を見返してゆっくりと噛んで含めるように説明した。 「そんなことないよ。勿論紙の上のことというか、戸籍では一人としか入籍できない。それはみんなで考えて、誰の籍にまなが入るのが一番妥当なのか相談して決めるべきだと思ってる。名目上、そいつとまなが同居するのも当然だし。でも、他の二人もそこには出入り自由で、いっそ下宿というか居候する形にするとか。だからそれなりの大きさの家が必要だよな。プライバシーも充分に守られる環境じゃないと駄目だし」 「え。…いやいや、そんなの。駄目じゃない?」 わたしは呆れて速攻否定する。おかしいでしょ、どう考えても。 「百歩譲って入籍する相手の人はまあわからなくもないけど。通ってくるというか、居候の立場の人は一生独身のまま?親御さんが泣くよ、みんな。まあ、嫌になったら自由に抜ければいいとは言え…。そこまでして続ける意味って何?とにかく今はこのままで、飽きた人から順次脱落ってルールでよくない?」 上林くんが横から手を伸ばしてテーブルの上でそっとわたしの手を取った。いつもと違う少し低い優しい声で、言い聞かせるように語りかけてくる。     
/85ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加