第18章 結婚するよ

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「でも、俺たちも確かなものが欲しいんだよ、まな。自由気ままに集まってるだけならいつかは自然とこれも終わっちゃう。まなを縛りつけたいとかじゃないんだ。でも、いつ俺たちの前からふいといなくなっちゃうかと思うと…。やっぱりずっとここにいてくれるって思って安心したいんだ。名目上の旦那が誰でも構わないけど、とにかくまなの住んでる家があって、俺たちはそこにいつでも通って君の顔を見て、触れられる。まなの生活を支えて大切にみんなで君を守って…。一生そうやって寄り添っていけるって確信したい。それにはなかなかいいやり方なんじゃないかと思うんだ」 わたしは少し焦り始めた。誰か、こんな変な発想にストップかけようってまともな人はここにはいないのか。ちらと視線を走らせかけてすぐ諦める。神野くん…、は、やっぱ駄目か。 この人はきっとこういうことにはコミットしない。現実にはこんな奇天烈なことに自分が参加したりはしないだろうけど。こうやって話が盛り上がってる(あくまで男の子二人の間で)時にあえて自分が水を差すような発言もしてくれないだろう。ただ距離を置いて意見を差し挟まず見守ってるだけだ。 こういうマイペースな人をあてにしちゃ駄目。自分の考えをはっきり表明しなきゃ。 早めにブレーキかけておかないと、いつの間にかどんどん向こうのペースに嵌っちゃう…。 「あの。いいアイディアみたいになってるけど。現実には難しいと思うよ。まずみんなだってご両親とか、身内の方がいらっしゃるでしょ。絶対不審に思われるって、友達夫婦の家にご自分の息子さんが入り浸りで結婚もしないとか。ご近所にだってあの家何?って思われる。社会的に絶対まずいよ。だいいち、結婚することで誰にどんなメリットがあるの?このままで付き合い続けるのと較べて何かよくなることなんて」     
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