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高松くんは何かを心に決めた人の澄んだ目でわたしを見やった。
「勿論、結婚しなきゃできないことがある。俺たちは家庭を作るんだ。まなに俺たちの子どもを産んでもらう。それでみんなで協力して育てるんだ。俺たちは家族になるんだよ」
…わたしは言葉を失った。
そう言えば。前に、高松くんが言ってたっけ。将来的にはわたしに子どもを産んでもらって一緒に育てたい、って。でも、そんなの。
「ええと。…よくわかんないんだけど。それは、わたしと入籍した人との子どもをそれ以外のメンバーと一緒に育てる、ってこと?」
高松くんがテーブルの向こうから腕を伸ばし、上林くんに握られたままのわたしの手に更に自分の手のひらを重ねた。辛抱強く説き伏せるように柔らかな声で答えを返す。
「そうじゃない。誰の子どもかは関係ないんだ。つまり、俺たちは全員まなの夫なわけだから。当然みんな、君の子どもの父親になる可能性がある。でも生まれてくる子が誰の子かはいちいち詮索しない。どいつの血筋でもまなが産んだ子は俺たち家族の子なんだからね」
重ねて何か付け足そうと身を乗り出す上林くん。いつにない真剣なその目を見返すけど。何か言わなきゃいけないのに。全然、喉から言葉が出てこない…。
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