第18章 結婚するよ

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「全員が同じように手をかけて大切に育てるんだ。俺たちみんなで君の子の父親になれるんだよ。すごくいい考えだと思わない?」 わたしは必死に声を絞り出した。やばいと思う、マジで。この人たちに任せておいたら。絶対いつか、とんでもないことになる。 「…でも。そんなこと言っても、成長していけば誰の子かは調べなくても何となくわかってきそうなものじゃない?そうなったら…、やっぱり、人間だもん。自分の子は特別可愛く思ったり、別の人の子だと思うと気持ちが離れたり冷めたりするでしょう?同じ人の子ばかり続けて生まれるってことだって考えられる、それはコントロールできないし…。そういうことが原因でぎくしゃくしたり、上手くいかなくなるかも。そんなんで生まれてくる子に本当に精神的に安定した環境を与えられるのか。責任持てないよ…」 高松くんと上林くんはわたしの必死の訴えに穏やかな表情で聞き入っていた。まるでそういう反論は初めから予期してた、とでもいうような余裕が感じられる顔つき。言葉が途切れるとおもむろに重ねたままの手をぎゅっと力を込めて握る。高松くんがこの上なく優しい声でわたしを説き伏せつつ顔を覗き込んだ。     
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