第18章 結婚するよ

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「そういうことも含めて。…まな、実は俺たちはずいぶん前からずっと、このことについて考えてきたんだ。いろんなシチュエーションやパターンを想定して、将来のイメージを具体的に思い浮かべて…。今君が言ったようなことも当然考えた。でも、そこは乗り越えていけるって思う。初めからそういうことが起こり得ることは百も承知で、それでもやっぱりどうしてもまなと家庭を作りたいって気持ちは変わらないから。俺たちみんな」 高松くんはわたしの手を離した。と思ったら立ち上がってテーブルを回り、神野くんの背中の後ろを通って近づいてきてわたしの傍らに跪いた。 間近から目の中に愛おしさを湛えて顔を見つめてくる。 「まなを俺たちの奥さんにしたい。みんなで大切に、大切に守ってずっと一緒に暮らしたい。君と子どもを可愛がって、愛して…。想像するとわくわくするよ。まなとその子のいる家で俺たちも毎日生活するんだ。まなの産んだ子、きっとすごく可愛いだろうなぁ…」 「まなにそっくりな女の子がいいよな、最初は。俺、何でもするよ。おむつ替えでも夜中の授乳でも。ワンオペなんて絶対させない。仕事だって続けられるよ。だいいち、人手だけは充分だからね。みんなで愛情と手をかければきっと、幸せな子に育つよ」 反対側からじり、と近寄ってきた上林くんも熱心に言い募る。二人に両側から抱きすくめられて呼吸が詰まりそうになり、ぷは、とかろうじて息をつく。 二人の濃い愛情に溺れそうだ。こんなのリアルに目指すべき将来像とはとても思えない。絶対に何か間違ってる。ボタンを掛け違えたまま平然とその服を着てる彼らのことが理解できない、けど。     
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