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胸の下辺りに甘えるように頬を擦り寄せられその可愛さに負ける。ため息をついて手を伸ばし、前髪を少しだけ撫でてやった。高松くんと上林くんが巡り巡ってあんな結婚みたいな発想に至った思考回路については、今までの経緯を承知してるだけに正直わからんでもない。共感できるかどうかはともかく。
でも。わたしに対して贖罪とか罪悪感とか同情みたいなものを抱く必要もないこの人が。どうしてこんな変てこな話に異も唱えずここに平然と加わってるのか。
それがどうにも、さっぱりわからない…。
その翌週の土曜日。例によって午後から神野くんと二人での約束が入っていたわたしは、そろそろ時間かなとスマホを充電コードから外そうとしてLINEの通知に気づいた。ロック画面に表示された神野くんの名前。
『寝過ごした。ちょっと、急に入った仕事があって今日の午前中までかかって。寝ないつもりだったんだけどうっかり気絶した。今から支度するけど、約束の場所までは一時間以上かかるし。時間遅らせた方がいいかかも』
時間を確認する。確かに、今出てちょうどくらいかも。起きたばっかりって、どんな状態なんだろ。とりあえず返信。
『今、自宅?』
『そう。とりあえずシャワー浴びて、身支度するから。昨夜はバイトもあって、そのあとずっと描いてたから。着替えもしてないし風呂も入ってない。落ち合ったら最初にどっか入って食事とっていい?』
ご飯も食べてないんだ。昨夜から?ちょっといくらなんでも気の毒だ。
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