第18章 結婚するよ

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「和食かな。別に、何でもいいよ。手間のかからないもので。お茶漬けとかさ…。てか、じゃあほんとにここには眞名実一人?それで、何でこんなに大量のストックが冷蔵庫に詰まってるの?」 わたしは肩を竦め、あれこれと食材を吟味して取り出しながら簡潔に説明した。 わたしが高校に入ったくらいから家に帰ってこなくなった母親のこと。学校に行っている昼間のあいだにこそっとやってきて冷蔵庫にぎっちり食材を詰め込んで帰っていく話。それは今でも続いていて、一ヶ月か二ヶ月に一回は気づくとぱんぱんになってること。当時の母はどうやら小さい子のいる男の人と親密になってほぼその人の家に住んでいたらしいこと。それでわたしが高校を卒業したタイミングで籍を入れて、今では母はそっちの家で新しい家族と一緒に暮らしてること…。 彼は反応を見せず黙って聞いていた。何か魚の切り身でもさっと焼くか、鶏肉で鍬焼きでも作ろうかな。今日朝からほとんど何も食べていないんならこれが朝食って言えば朝食だけど。昨夜から食べてないんじゃそれなりにがっつりと量もあった方がいいんじゃないか。和食だからご飯と味噌汁を作って、それにおかず。そうだ、何はともあれまず出汁を取っておこう。 「なるべく手早く急ぐからね。少し待ってて」 お米だけは研いでおいてよかった。スイッチを入れて小鍋に出汁昆布を放り込む。冷凍庫を開けて、メインを何にするか考えて…。     
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