第17章 ホルバインのマリンブルーは偽の星空の色

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第17章 ホルバインのマリンブルーは偽の星空の色

初めて神野くんと二人きりでしたそのあと。意外にもというかやっぱりねというか、彼のわたしに対するスタンスはあまり変化しなかった。 相変わらずする時以外は注意深く距離を取って絶対に触れたりしない。上林くんや高松くんは一緒に出かけてる時や部屋でくつろぐ時間など、してない時でもわたしに対する態度がほとんど変わらないのでそれとはだいぶ勝手が違う。 彼らは出先でも結構平気でわたしの手を取ったり肩を抱いたりする。ちょっと油断すると多少周りに人目があっても頬にキスされることだってある。長崎くんが抜けて以来、わたしも面倒になったというかもうどっちでもいいというか。どんなに変な集団に見えるだろうと頭の片隅で思いつつもいちいち咎める回数も減った。 あの男の子たち、ひとりの女の子に複数でべたべたしてるけど一体どういう関係?と通りすがりの知らない人に思われてもまあ誰かが被害を受けるわけでもない。万が一知り合いに見られたらその時はその時、と少し投げやりな気分になり始めていた。 思えばその頃から、もしリュウに何かの機会に知られたらそれはそれで仕方ない、と腹の底では覚悟を決めていたのかもしれない。     
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