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「きゃー、アーネット様!」
とレイラが大声を発した瞬間、アーネットは顔色一つ変えずにサッと横へ移動し剣の突きを避けると、その場で半回転して妖刀の柄頭で守護神の横腹を突いた。「ゲボッ」っという声とともに守護神はその場に倒れ込んで動けなくなった。アーネットは汚物でも見るかのような目で睨みつけると
「レイラ、本当に申し訳ないが、私にはこの霊界とやらを、そこまで丁重に扱う必要性を感じない。一番下っ端の霊がチンピラだったのは仕方ないとしても、守護神と呼ばれる者までがこの有様。しかも背中から人を襲っても恥じないこの卑怯な心の在り方には心底呆れて、愚かしさまで感じてしまう。
こんなものが神だと? 現世で困り果てた者が祈りをささげているのがこんなものかと思うと、怒りさえ感じてしまいます」
と、完全に霊界を否定する発言までしてしまった。
「いいえ、アーネット様。霊界を侮ってはなりません。ここは神聖にして犯すべからざる場所なのです」
レイラは必死に涙を浮かべて霊界を擁護しようとした。
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