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アーネットは自分は正論を言っているつもりでいた。ここまでの戦いで霊達の醜さや卑怯な振る舞いをみればレイラも判ってくれると思った。しかしそれでもレイラの気持ちは変わらないことに、アーネットは信仰によって深く心に刻まれたものが容易くかわらないことを理解した。
「すまないレイラ。私の言い方が悪かった。私は決して霊界やあなたの信じる神を軽んじようとしているわけではないのです。ただ私にとっては現実社会の解決が全てに勝っていて、この霊界の仕来りに従って時間を浪費したくないという焦りがこの結果になってしまいました。
非礼は詫びます。破滅の術を作動させた後なら、どんな霊界のしきたりにも従いましょう。しかし巨人の業火を招来する魔法もこの天界より発せられるのです。どちらを天界の神が選ぶかによって我々の未来が変わってしまいます。
私は神が巨人に味方するならば、神をも敵として討つ覚悟です」
レイラはアーネットの言葉に目を見開いて固まってしまった。
「確かに、そういうことになりますね・・・」
レイラは狼狽えた。自分は南東王国の呪術師であり、ヒディア神の信仰に生きてきた。しかし今は巨人の非道に対して帝国に力を貸している。
(私は自らの神に背いていることになるのだろうか・・・)
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