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と自問自答した。レイラはヒディア神が巨人の殺戮を認めているとは考えていなかった。今までの侵略行為は全てマフムードと巨大魔石が暴走した結果だと思っていた。しかし今アーネットが取ろうとしている行動は明らかにヒディア神に対抗するものに思えた。
(私は、どうすればいいのか・・・・)
レイラは引き裂かれる思いだった。確かに彼女は南東王国にとっての反乱分子であり、カリフに親を殺された恨みを抱えている。しかしそれと自分が南人であり、ヒディア神の信仰に従って生きていることとは矛盾しないと思ってきた。でもこのままアーネットを天界へとつれていけば、アーネットは神に刃を向けることになるかもしれず、自分の行為もまた敵を招き入れた大いなる背信行為にあたると思われた。
「アーネット様、私はもうこれ以上貴方をご案内することはできません。私にとって霊界や神とは不可侵な存在で、それを裏切ることは自分のこれまでの行い全てを否定することになります。どうか私の心情をご察しください」
そういって深々とお辞儀をするレイラをアーネットは暫く見つめたあと、両手を握ると
「わかった、レイラ今までどうもありがとう。そしてできれば今後も友達でいてくれるか?」
と聞いた。レイラは涙ながらにそれに頷いた。
「ありがとう」
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