第百二十章『霊界突入 獣人の少年』

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あたりには普通に村が点在し、農業や牧畜にいそしむ人が見られ、普通に村人が暮らしていた。そんな人々はアーネットを見かけると気軽に挨拶をしてきた。 「こんにちはー」 と愛想よくアーネットも手を振ってそれに答えた。挨拶をかわすぐらいは別に構わないだろうと思った。そのうち小さな街も見えてきたので、食べ物を求めて寄ってみた。霊界にいてもやはりお腹は減った。 「しかし、問題は金だよな・・・」 人間社会の貨幣がこの霊界で使えるとも思えない。かといって値打ちのある宝石のようなものはアーネットは持っていなかった。もちろんペンダントは毛頭手放すつもりはない。 どうしようかと広場の石に腰掛けて考えていると、そこへ少年が全速力で走り込んできた。疲れ切っているのか少年はアーネットのすぐ近くでの石に躓いて転んでしまった。そのあとを追ってやってきた役人と複数の狩人達は少年にクロスボーを向けて抵抗を諦めるように迫ってきた 「オレは何にも悪い事なんてしちゃいないーだろが!!」 と少年は必死に訴えたが、役人はそんな話など聞く耳持たぬといった顔で 「お前は獣人、下層の民だ。たとえ今何もしていなくとも将来人を襲う危険は高い。それに本来お前はここへ入ることさえ許されていないんだよ」     
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