第百二十章『霊界突入 獣人の少年』

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と役人は冷たく言い返した。よくみると少年の耳には獣のようなモフモフしたやや大きめの耳がついていて、手足にも動物特有の爪や毛がはえていた。しかしパッと見た感じ特に危険なようには見えない、ちょうどアーネットの足元で少年が転び、そこへ大人が数人がかりで取り押さえこもうとする、そんな状況になっていた。 「やめろ、離してくれよ。俺は商品を売りに来ただけだ。行商にくる獣人は他にだってたくさんいるじゃないか。俺には腹を空かせて待っている兄弟がいるんだよ、頼むよ見逃してくれよ!!」 狩人達から網で囚われ、必死にそこから逃げようとしながら少年は叫んで、アーネットにも救いを求めるような目をしてきた。暴れる少年のポケットから小銭がこぼれた。どうやら彼が商売をしにきたというのは本当のように思われた。 アーネットは少年と目があい憐れな事だとは思ったが、助けようとはしなかった。 (これは霊界が私に仕掛けた罠に決まっている。いまここで騒ぎを起こせばまた霊や守護神と争わなければならなくなる。それだけは避けたい) と思ったからだ。アーネットは少年と合わせた目を逸らした。rい (いくらなんでもタイミングが良すぎる。私を嵌めるために用意された、この寸劇に付き合っているわけにはいかない) そうアーネットは思って少年を見ずに立ち去ろうとした。するとどこからともなく小汚く目つきの卑しいオヤジが小銭を拾おうと手を伸ばしてきた。これにはさすがにアーネットも自然と体が動いてしまい 「この金はあの少年のものだ、勝手に拾うな!」     
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