第百二十章『霊界突入 獣人の少年』

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そう言って、小銭を拾おうとした手を伸ばしてきたオヤジより先に小銭を足で踏みつけてを威嚇した。 「うるせぇー、あのガキはもう捕まっちまったんだよ、下界送りさ。だからその金はもう誰のものでもねぇ、先に見つけた俺のもんだ!」 とハイエナのような目つきでアーネットを睨んできた。その卑しい言い方にカチンときたアーネットも反射的に 「見つけたというのなら、私の目の前に落ちていたものだ、私の方が先にみつけたことになるだろう」 といって小銭を踏みつける足にさらに力をいれて、小銭が地面にめり込むぐらいに踏みしめて男にとらせまいとした。傍目には小銭の所有権を主張しあう、なんともセコイ争いに見えただろう。ただアーネットには目の前で連れていかれた獣人の少年の想いがその小銭には残っている気がして見過ごすことができなかった 「ケッ、セコイヤツだぜ。じゃーお前さんがその小銭をあのガキに返すとでもいうのかい? どうやって返すっていうんだい? お上が下界送りと決めたヤツに金を渡すのかい? そいつはいわば罪人だぜ、金を受け取るどころか、奴隷として売られる身分だ。そんな奴に金を返すなんて無意味だ。奴隷に所有する権利なんてないだからな。お前はその金を一人締めしたいってだけだろ?」     
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