48人が本棚に入れています
本棚に追加
マルオの未来はこれからだ。希望に満ちている、はずだ。
世理との関係がどうなっていくのか、それは神のみぞ知る。
自棄になっているわけでも開き直っているわけでもないが、マルオとしては始まったばかりの二人の行方が幸せなものであるようにと、神に、天に、ありとあらゆるものに、願わずにはいられない。
自分たちが世間から見たらイレギュラーだということも、おおっぴらにはできない関係だということも理解している。
でも、でも!
やっぱり世理のことが好きで、大好きで、ずっとずっと一緒にいたいと思うのだ。世理も同じ気持ちでいてくれるのではないかと思う。
だからこそ、二人で気持ちを合わせて守っていきたい。簡単には諦めたくない。
そのためには先ず自分がしっかりブレずにいなければと、世理のことを好きで大事にしていきたいのだと、それを心に誓うのだった。
世理の腕の中、少し落ち着きを取り戻したマルオはそんな気持ちをこめて言った。
「世理先輩、俺、先輩と同じ大学に行けるように頑張りますから、先輩も俺が追いつくまで浮気しないで……いえ、追いついても、ずっと浮気しないでくださいね」
そして世理の目を見つめて微笑んだ。
「俺は先輩だけですから」
マルオが出した右手の小指に、世理も優しく微笑みながら右手の小指を絡ませた。
おしまい
最初のコメントを投稿しよう!