共鳴

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吹奏楽部というのは意外に体力を要するらしい。 ということを、マルオは入部してから知った。 いい音をキープするためには肺活量が必要だし、マウスピースをしっかり保持して息を吹き続けるのは結構疲れる。それに練習だけでなく演奏会本番など長時間にわたる演奏ができるようにとか、夏の炎天下での野球部や他の部活だって要請があれば力一杯応援するわけで、その応援活動に耐えられるようにとか、何にしろ体力というか持久力があるにこしたことはない。だからそのためのトレーニングはした方がいい。 マルオは見た目から想像するほど動くことが苦手ではない。スポーツ万能とまではいかなくても、体育だって嫌いではない。だからマルオは基礎体力をつけようと、ランニングを日課にして頑張った。全てはサックスのためだ。 ただ、今はいかんせん平和な日常を得るために蓄えた脂肪が重くてちょっと動くだけでもはぁはぁと息切れするし疲れるし汗が凄い。自ら望んだこととはいえ、随分増加した体重を少しだけ恨めしく思いながらも、マルオはサックスのためだと自分を鼓舞し、日々体力づくりと、もちろん基礎の練習にも励んだ。 おかげで数日もすれば体が慣れてきて、トレーニングも苦ではなくなっていった。だから毎日続けた。 結果… 「あれ? 丸岡、最近少し痩せた?」
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