意識

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自分たちとしては精一杯頑張った。 が、結局、コンクールは『参加することに意義がある』形で終わった。上には上がいるということだ。だからこそ「次こそは!」と更なる気力が湧いてくるのかもしれない。 そして世理たち三年生は引退となり、送別会が八月も半ばに差し掛かった土曜に開かれた。 チェーン店の焼肉屋でワイワイと繰り広げられたそれは、湿っぽさはなく楽しいものだったのに、その片隅でマルオは何とも言えない寂しさを感じていた。コンクールが終わった消失感もあるが、やっぱり惜別の思いが強い。勿論、三年生の先輩たちは部活を引退するからといっていきなり遠い場所に行ってしまうわけではないのだが、それでも今までのように毎日顔を合わせることはなくなるだろう。そう思うと寂寥感が胸に広がってくる。 「丸岡、食べてる?」 知らず俯いていた顔を上げると、そこには笑顔を湛えた世理がいた。ついさっきまでマルオからは離れたところで女子に囲まれていたのにいつのまに移動してきたのだろう、とぼんやり思う。 「丸岡?」 「…あっ、い、いただいてます…」 慌てて言うも、マルオの前にある小皿には冷え切ってあまり美味しそうには見えなくなってしまった肉がいくつか載っていた。 「何か考え事? 悩みでもある?」 世理はマルオの隣に腰を下ろした。 「あ、いえ……」 「浮かない顔してるけど?」 「……えっと…」 「吐き出した方が楽になるかもよ?」 「…いえ、悩みとかじゃなくて…」 「ん? じゃ、どうしたの?」 「…あの、先輩と…三年生の先輩たちとはあんまり会えなくなるのかなって思ったら、少し寂しいというか……」 マルオは今の正直な気持ちを口にした。
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