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夏休みの後半には合宿が行われた。
合宿といっても爽やかな高原で、とか、湖のほとりのホテルに宿泊して、とか、そんなオシャレなものではなく、通い慣れた学校で雑魚寝だ。
とはいえ、非日常だからか、それなりに充実していたからか、汗やら埃やらに塗れた決して美しくはない合宿でも楽しく感じるものらしい。時間はあっという間に過ぎていく。
ただ、三年生のいない寂しさは拭いきれなかった。厳しく優しく指導してもらったことが懐かしく思い出された。特に世理のことが。
(先輩…今ごろ何してるんだろう。受験勉強かなぁ。先輩はどこの大学に行くのかなぁ)
マルオは時々思いを巡らせる。
(今度先輩に会ったら聞いてみよう。…でも、いつ会えるんだろう)
そこまで考えると気分が落ち込んだ。このまま会えずに世理は卒業、なんてこともあるんじゃないかと思えてくる。
(先輩はまた部活に顔出してくれるって言ってたけど、勉強が忙しくなったら来れないんじゃないかな…)
そう思うと寂しさが募る。
(先輩に会いたいなぁ…)
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