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マルオには5つ違いの姉と年子の妹がいる。
小さい頃、姉の麻未とその友人である理々子に、よく遊びに付き合わされた。何かのごっこ遊びなのか
「郁実、これ着て」
姉と理々子はマルオが逃げ出せないように立ちはだかると服を渡してくる。なぜかマルオは姉や妹の服を着せられた。
姉や妹の服。赤やピンクを基調にした、それはそれは可愛らしいフリルやレースたっぷりのスカートやワンピースで、いかにも「女の子」なものだった。
「やだよ」
マルオが拒否すると姉はキッと眉を怒らせて
「は? あんた、あたしに逆らうの? そんなことが許されると思ってるの? この前、公園でいじめられてビービー泣いてたあんたの敵討ちしてやったのは誰? あたしがいなきゃ公園で遊ぶこともできないくせに、何を偉そうに逆らうのよ? あんたはおとなしくあたしの言うことを聞いてればいいのよ!」
と、ものすごい剣幕で言い募られる。幼い頃の5つの年の差は大きい。とてもじゃないが敵わない。
結局マルオは言い返すことができなくなり、半ベソをかきながら渋々着替えるしかなかった。着替え終えたマルオの頭にはリボンまでつけられる。マルオを見て姉は満足そうに頷く。
「じゃ、行こうか」
そして着せ替えだけでは飽き足りないのか、そのままの姿で外を連れまわされるのだった。
女の子みたいな格好をさせられるだけでも嫌なのに、どんなに抵抗しても姉には聞き入れられず外に連れ出され、人が集まる公園などに連れていかれるのだった。
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