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自分の体がいったいどうなっているのかわからないままのマルオに、翌日世理から電話が入った。 スマホの画面に浮かぶ『城山世理先輩』の文字にまたドキンと跳ねる心臓を宥めつつ応答した。 『あ、丸岡? 俺、城山だけど。あのさ、単刀直入に聞くけど丸岡はバイトする気ある? 』 「バイト、ですか? 」 『うん。昨日言ってただろ? サックス買うのにバイトしないとって』 「あ、そうですね。自分のサックスは欲しいのでいいバイト先があればしたいです」 『そっか、じゃあさ、ハルさんの店でバイトしない? 』 「え!? 昨日のお店ですか? 」 『そうそう。ちょうどハルさんもバイトしてくれる人を探してるらしいんだ。丸岡は学校も部活もあるから、その合間で来てくれたらいいって言ってるんだけどどうかな? 』 世理の言葉を聞いて昨日のお店を思い出す。お洒落で温もりのあるお店だった。店内に流れるジャズも心地いい。あのお店でバイト…いいな、とマルオは思う。だけど、そんなに自分に都合よくバイトさせてもらっていいのだろうか。 「あの、すごく嬉しいんですけど、そんなに俺の都合に合わせてもらってもいいんですか?」 『ああ。はっきり言って、すごく忙しい店ってわけでもないからな。バイトもハルさんが気に入らないと採用しないんだ』 「え!? それなのに俺でいいんですか?」 『丸岡のことは気に入ったらしいよ。弟子みたいなもんだしなって言ってた』 「そ、そうなんですか…」 『どう? バイトしないか?』 「あの、一応、親にも相談していいですか?」 『ああ、そうだな。もちろんそうしてくれ。どうするか決まったら連絡くれる?』 「はい、わかりました。…あの、先輩、ありがとうございます」 『いや、俺としても丸岡が『subtone』でバイトしてくれたら嬉しいし』 その言葉に何故かボッと頬が熱くなったマルオだった。
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