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そのうち「ハルさん、また来るわ。ありがとう」という朱里の声が聞こえてきた。 客の帰ったテーブルを片付けていたマルオがそちらを見ると、朱里たち三人は荷物を持って店を出て行こうとしているところだった。 「丸岡、またな」 世理もマルオにひと言声をかけてから、朱里たちに続いて店を出て行った。 言葉を返すこともできないまま、半ば呆然と世理を見送ったマルオは、なんだか無人島にでも一人取り残されたかのような寂しさを感じた。 「郁実くん、郁実くん!」 三人が出ていった店の扉をぼーっと見つめていたマルオは、またもやマスターの声にハッとする。 「これ、頼むね」 見るとカウンターの上には湯気の立つコーヒーが二つ並んでいた。 「あ、はい。すみません」 マルオは急いでテーブルを拭き、今片付けたばかりのカップを載せたトレイを持ってカウンターに戻った。
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