怒涛

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ライブは土曜の夜、7時スタートだった。マルオはその日も8時までバイトだ。だから、8時までは仕事をしながら聞き、その後は一人の客としてライブを見る。マスターに許可も得ている。 ライブ開始30分前には満席になる盛況ぶりだった。 「すごい人ですね」 マルオは驚きを隠せない。いつもの席数では足りないので予備のテーブルと椅子を並べたが、そこもすでに客が座っていた。立ち見も出るのではないかと思うほどの賑わいだ。 「陣と朱里のライブはいつも人気なんだよ。これだけ客が入ってくれると俺としても嬉しいね」 マスターはニヤリと笑う。 ピアニストは陣恭輔(じんきょうすけ)というのだと、マスターに教えてもらった。 ライブが始まる前に満席の店内でオーダーを聞いて回り、出来上がったものをそれぞれのテーブルへと運ぶ。いつもよりテーブル数も多いので、店内の通路は狭くなっている。それでもお客さんたちにはライブをゆっくり楽しんでほしいし、演者たちの邪魔にもならないようにと気をつけて動いた。 「ハ~イ、皆さんご機嫌いかが~? お久しぶりのJIN&SHURIですよ~! 今日はたっぷりゆっくり楽しんでいってくださいね~。途中オマケもあるので是非是非お楽しみに♪」 そんな朱里のくだけた挨拶からライブは始まった。
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