2.浦島太郎という男

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2.浦島太郎という男

飄々としながらも義理堅く、人情に厚い人だった。あんな人やめておきなさいと言っていたのは親友の真由美だ。捨てられた子犬を拾おうが、ヤンキーはヤンキーなのだ。私たちとは住む世界が違う。 今思えば、あの時の真由美の忠告を真面目に聞いていれば良かった。男にしろ女にしろ、恋にのぼせた者は呆れるほど盲目である。 くぅんという声がして、ベッドに犬がすり寄ってきた事に気づく。 「ポチ、おはよう。朝ごはんにしようね」 そう言って花子はベッドから立ち上がった。 あれからもう三ヶ月、タバコを買ってくると言ったきり、太郎は戻ってきていない。
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