生まれ変わったら森

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生まれ変わったら森

私は森です。森そのものです。海でも良かったのですが、森に生まれ変わることにしました。海でも森でもそんなに違いはありませんし、私たちは同じなんです。 森になることに決めたのは、ずっとむかしです。森になるまでにたくさんの時間がかかりました。私は昔からいろいろ時間がかかるんです。 私が人間のころ、そうつまり以前はということなんですが、星になりたいと思ってました。空の上でキラキラ輝きたいなって。寒月の奥でキラキラと光っていたいなって。いまでもときどきそう思ったりします。でも私はにはとても手が届かない。 星になるには天の下に生まれなければいけません。私の生まれた地の下では星になれないのです。 これは私が子供のころ、海の向こうの古い古い森から伝わる話を大きな雨雲が私に話してくれました。南は暖かいけど不真面目で、北は寒いけど真面目で勤勉だって、だから地震を呼んで真っ二つにしてから、ひっくり返そうってことになったんだって。そうすればみんな幸せになるじゃないかって。それで地震を呼んで真っ二つにしたんだ。すると大きな振動で森が全部枯れてしまった。いまは北も南もまあまあ暖かくて、みんな普通になったみたい。そしてそれがいまの森に葉ついていない理由なんだって教えてくれた。 葉のない森は大地から栄養を吸い尽くすだけ。私はもらうだけでなんにもしません。でもそれが悪いとは思いません。私はそうやって生きていくしかないんだから。
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