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お年玉は愛情の裏返し
一月一日。その日は私にとってありがたい日である。いや、私だけではないだろう。この世界でこの日を祝日と思っている人にとっては嬉しいことが何かしらあるだろう。なぜなら、その日である今日は年をまた一つ上がっているのだから。私はそんなことを思いながら神社に私と同様に参拝してきた人たちを眺めている。「あの人は今年何を思って過ごしていくのだろう」というようなことを考えながら。そういえばあの頃もそんなことを両親と共に来て考えてたなぁ。
「深優≪みゆ≫ちゃん、どうしたの?人の行列を見て気持ち悪くなった?」
そんな私に一緒に来ていた母親が声をかけている。
「男探しはまだ早いぞ?」
近くにいた父親も冗談で言う。
「うん、私、まだそんな生ゴミいらないから。父さんや母さんで充分だから」
「そうね。でもそんな耳に苔が生えてきそうな言葉を言うなんてホント誰に似たんかねぇ」
母親は首を傾げながら言う。
「そうだ、父さんの花嫁になるか?」
「父さん、先に永眠しちゃうのに大丈夫?」
「そうよ?私という美女がありながら娘に手を出そうとするなんて。神様に睨まれて墓に苔生えてしまうわよ?」
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