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3ヶ月後
「疲れた……まさか残業がこんなに遅くなるなんて……」
俺は夜の8時を回った夜道を歩きながら嘆く。夕には事前に帰るのが遅くなることや作り置きにご飯を作ってあるから大丈夫だろうけど、こんなに遅くなるのは初めてだからな……
そして、家に辿り着くと、家は玄関から溢れ出る光がまるで幸せがそのまま溢れ出ているように思えた。俺は家のドアノブを回してドアを開ける。
「夕、ただいま」
だが、返事は返ってこなかった……俺はそっと家の中に入りドアを閉める。そして、リビングに向かうと、そこには想像にもしていなかった光景が広がっていた……
「夕、どうしてそんな悲しい顔をしているんだい?」
リビングの椅子に1人、夕はテレビも付けずに悲しそうな顔で1人ただずんでいた……俺はようやっと気付いた。今まで幸せだって感じていたのは俺だけだったんだ……
俺は「おかえり」と返事が言ってもらえて幸せだったけど、はたして夕には誰が「おかえり」って言ってあげるんだ?俺が帰ってくるまで一人きりで誰もいない家で待つんだ……?夕には俺と同じ思いをさせていたんだな……
「ごめんよ、夕……」
俺は夕を優しく包み込んだ。抱きしめられた夕は 何があったのか分からないような顔をしていたが、力強く抱きしめ返してくれた。
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