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深く溜息をついたオリヴァーに、アレックスは首を傾げて様子を見ている。それに気づいて、オリヴァーは苦笑した。
「騎士団は男所帯の寮生活で、生活を共にする事がほとんどなので恋愛事情も様々で。私の友人もまた、素直ではない愛情の持ち主でして、見ていてじれったいのです。上手く思いを遂げてもらいたいと願うのですが、簡単ではなくて」
「それは確かに、じれったいな」
苦笑を深めたアレックスは、ふと何かを思いだしたように隠しを探り、程なく紙を三つ出した。
「これは?」
「俺が出資している例の宿の宿泊券だ。コンセプトが成功していて、若いお客が増えたそうだ。これはその礼として受け取ったものなんだが、よければ」
「そんな、頂けませんよ!」
驚いて差し出されたものを突っ返そうとしたが、アレックスはそれを更に突っ返してくる。
「タダで貰ったようなものだし、俺には今のところ相手がいない。期日も五月までとなっているから、このままではただの紙くずになってしまう。有効活用してもらえればそれでいい」
「タダって事はないじゃないですか。出資のお礼なのでしょ?」
「その分は現金でのフィードバックがある。これはおまけのようなものなんだ」
そう言われてしまうと受け取らないのも失礼に思える。受け取って苦笑した。
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