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「このお礼に、私は何をお返ししたら良いのでしょう?」
「では、今度貴方の都合の良い時に、デートなどいかがか?」
「デート、ですか?」
思わぬお誘いに目をパチパチと瞬かせる。
一夜を濃厚に過ごす事はあっても、大抵の相手とはその後がない。なんというか、興味を失ってしまう。互いに体と興奮を目的にしている為、目的を果たすと途端に萎えるのだ。
自分の職業すらも明かさない事がほとんど。だが、アレックスには多少興味がわいている。この人物は趣味を理解し、その上でオリヴァー自身に興味を抱いてくれているから。
「オリヴァー殿は、好物は?」
「甘い物です」
「ケーキやチョコは?」
「勿論」
「俺も甘い物が好きだ。今度、食べに行かないか? ラセーニョ通りに新しく、東方の国の菓子店が出来たのは知っているか?」
「知ってます! 確か、『和菓子』というのですよね? 見た目が美しく繊細で、味もしつこくない独特の食感のある甘味だと聞きました。行きたいとは思ったのですが、行けずにいたのです!」
思わず身を乗り出して興奮気味にまくし立ててしまう。目の前の人は楽しげに「くくっ」と笑う。それが少し恥ずかしく、顔を赤くしてスツールに座り直して俯くと、ふわりと頭を撫でられた。
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