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オリヴァーの約束
次の安息日、オリヴァーは約束通りラセーニョ通りの銅像へと来た。
黒い細身のズボンに、白いシャツの前を少し開け、お尻の隠れる長さのジャケットを羽織ってきた。髪はまとめ、邪魔にならないようにした。
待ち人を探して周囲を見回すと、直ぐに見つける事ができた。黒のズボンに白いシャツ、濃紺のベストを着た彼はこちらを見て歩み寄ってきた。
「オリヴァー殿」
「アレックス殿、お待たせいたしました」
「たいした事はない。少し前に来たばかりだ」
穏やかに笑った人は自然とオリヴァーの隣に並び、歩き出す。それに従い、オリヴァーも歩き出した。
「オリヴァー殿はこの辺には詳しいのだろうか?」
「いいえ、あまり。甘味の店には詳しいのですが、食事処などには疎くて」
ここに来るときの目的がはっきりしすぎている。その為、他が目に入らない。
だがこういう時はそうした自分の猪突猛進が恨めしく思える。店を知らないから、ろくなエスコートもできない。
今まではそれでよかった。一緒に食事を楽しみたいと思う相手がいなかったからだ。だが今はそんな自分が歯がゆい。
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