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「私は小食だと思っておりましたのに」
「あれで小食とは言わないな」
そう言って笑う人を睨み付けるが効果は薄そうだ。
「普段厳しい訓練をしているのだろう? 逆に安心したよ」
「安心…ですか?」
「細い腕をしているように見えたから、大丈夫だろうかと」
「これでも日々鍛えておりますよ。筋肉だるまのような同僚に比べれば非力ですが、それなりです」
当然これはグリフィスの事を言っている。彼は筋肉こそ美という極度の筋トレマニアだ。彼に比べれば大抵の人間が非力だろう。
だが、ふと思い出した。グリフィスと負けず劣らない力があり、同時に細い人のことを。
「そういえば、私の上官は細い見た目に反してかなりの力がございますね」
「ん? そうなのか?」
「えぇ。暑苦しい筋肉などつけずとも強い力がある。その方は脱いだ時がまた良いのですよ。無駄のない肉体美というのはあのようなものを言うのだと心底感服いたします」
ファウストの体は溜息が出る。数時間見続けられるほどに良いのだ。胸板もしっかりとしていて、背は綺麗な逆三角形を描き、腹筋は割れ、上腕が程よく盛り上がる。腰つきはとてもシャープで逞しく、動けばそれに伴って筋肉が動く。
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