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少々うっとりとしてしまう。それに、アレックスが苦笑した。
「オリヴァー殿はその御仁が好みかな?」
「見ている分には大変美しい方だと思いますが、人間としては合いません。優しすぎるのですよ、あの方は。それに、私などではとても見合わない。趣味や楽しみを共有できない方と長く共にある事はできません」
オリヴァーにとって最も重要な要件だった。
それでもアレックスの苦笑は消えない。少し不安に見上げると、手を引かれて木陰へと誘導されていく。人の目が届きづらい木の幹に背を預けたオリヴァーは、そのまま深くアレックスと口づけた。
「んぅ…」
甘く甘く蕩けていく。甘やかされるのではなく、欲望を感じさせてくれる口づけは望ましい。先を期待してしまう。身を寄せて腰の辺りに腕を回すと、するりと唇が離れてしまった。
「…すまない、少し嫉妬したのだろう。あまりに楽しそうに他の男の話をするものだから、気に入らなかった」
恥じるように顔を薄らと赤くし、そっぽを向かれる。濃紺の瞳が拗ねたように細くなるのにオリヴァーは呆気にとられ、次に笑った。
だって、嫉妬だなんて。まだ二回しか会っていない人に、そんな風に思われるなんて。嬉しくて、くすぐったくて、可愛かった。
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