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でも知っている。彼のその愛情は既に違う相手へと向かっている。そしてその相手もよく知っている相手だ。
同僚のウェインは実に明るく愛らしく、素直で優しい人物だ。照れ隠しがあまりに見え見えで、気落ちすらも透けて見えている。
ある意味こんなに感情を抑えずにいられる事が凄いと思える。色んな物を隠しているオリヴァーにしたら、奇跡のような人だ。
そしてアシュレーはこの素直すぎるウェインがお気に入りだ。しょっちゅう痴話喧嘩のような事をしている。
何よりじれったいのが、当人達が進展していかないこと。
今のところ、アシュレーの片思いのような状況で、ウェインは「あいついつも僕をからかうんだ!」と憤慨している。好かれている自覚なんてない。本当に嫌われていると思っているかもしれない。
以前アシュレーに「それではいつまで経っても進展ありませんよ」と言った事がある。
だが彼の反応は「今のところそうした予定はない」というものだった。つまり、まだ遊ぶつもりなのだ。
「ファウスト様にもいい人出来そうですし、私も寂しいですね。今日は結構その気で来たのに、適当なお相手にも巡り会えないなんて」
男を漁りに来た。正直な所はこれだ。
その時、ふと会場から出てきた男がいた。
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