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オリヴァーの友人
夜会を抜けたその足で、オリヴァーは地下のバーへとアレックスを誘った。
ここは会員制で静かなバー。オープンではあるものの、詮索はしない。個室もあるし、密会には適した場所だ。
オリヴァーはカウンターに座る。隣にはアレックスが。酒を傾け、乾杯を言って一口。既に仮面も外し、二人は素顔のままここにいた。
「改めまして。私は、オリヴァー・クックと申します。騎士団に所属しております」
「騎士殿でしたか! だがしかし、あまりそのようには見えません。てっきり役者などをしているのかと」
「顔だけならばそう言われる事も多々あります。実際、私の母は女優をしておりました」
口元を軽く隠してクスクスと笑うオリヴァーに、アレックスは申し訳無く笑う。
その笑みすらも好ましい。控え目で、眉根が寄ると男らしい精悍さが出てくる。なんて色気のある相手なのか。
「アレックス殿は、どのような方なのでしょうか?」
「あぁ、俺か? 俺は地方貴族で、一年ほど前から王都に住んでいる。貴族というよりは、実業家のようなものだ。元手は少ないが、投資などをしている」
「投資、ですか?」
アレックスは穏やかに笑って頷いた。
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