ビール工場見学へ

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妄想ビール工場である以上、あり得ないビールに纏わる空想が羽ばたく目眩くビールファクトリーワールドが全開する。  麦子はビキニガールとなってビールを注ぎまくった。  麦子にはもう一つの選択肢もあった。ナイターのビアガールである。例えば東京ドームのビアガールなら売上歩合制、せこい時間給などやってられない破格破竹の荒稼ぎも可能なのだ。  如何せん、アナウンサーの練習ができない。しかもプロ野球好きの飲んだくれという連中の酔いを手伝うある種自虐的スタッフなのだ。  更に酔っぱらいの指先がビアガールのタイトスカートどころかTバックの股間の一番食い込む隠微な部分に無遠慮なる強制猥褻紛いの侵入を繰り返すかも。  実話か噂は判別不明ながら、麦子は同じ大学の友だちの友だちがビアガールをやったが故に球場トイレでその夜試合に敗れた酔いどれファンたちにあれこれされたとかの話まで聞き及んだ。  そんなビアガールは嫌だった。絶対に、絶対に!  ナショナルトラスト、大企業であるビール工場でゆくゆくはプレゼンテーション・ガールとして滑舌を磨きたい。その第一ステップがビール注ぎである。見学後の試飲大会で乱舞するのである。
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