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体中が熱を持って汗が止まらない。心臓が痛くて苦しくて、呻き声をあげながら痛みに耐え続けた。時折襲ってくる嘔吐は、もう胃液しか出ない。喉が焼ける。せめて眠ることができれば少しはマシなのに、痛みでそれも叶わない。 「はあっ…う…」 「晃一、大丈夫? 辛いね…」 菜美恵はタオルで汗を拭う。ちらりと菜美恵の顔を見ると、泣きそうな表情をしていた。 その表情を見た途端、晃一は涙が溢れた。 「ふっ…う…ぐすっ…」 「晃一?」 「…う。…も…いや…」 晃一は片手で目を隠す。小さい頃は結構泣き虫だったが、大きくなるにつれて人前で泣くことはしなくなった。もちろん母親の前でも…。止めようとしても涙はいっこうに止まらない。 「う…けほっ…はあっ…くる…し…」 菜美恵が晃一をぎゅっと抱きしめた。 「…はあっ…母…さん…けほけほっ…」 「晃一、大丈夫よ…」 「はあっ…痛い…う…ひくっ…」 菜美恵は晃一の背中をさすりながら、"大丈夫よ"と何度も言った。 そのうちに晃一は眠ってしまった。
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