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…やられた
「ウソ泣きか…まったく」
「ふふん、お前が仕掛けてきたのが悪い!」
「…子どもか」
ぼそっとつぶやいただけの言葉だったが地獄耳の彼女には届いていたのだろう。
見る見るうちにまた目が吊り上がり顔が怒りで真っ赤に染まる。
「ん!?今お前子供と言ったろう!」
「言ってない言ってない」
「ウソをつけ!絶対言った!」
言った言ったと足をじたばたさせて抗議する
彼女の姿はまさに子供が駄々をこねるそれだった。
…その行動がすでに子供なんだがな…
内心そんなことを思いつつ、しかしこちらが余計なことを
言ったがゆえにこうなったことに変わりはないと
彼女の機嫌を治すべく名前を呼ぶ。
「ユリ」
その瞬間ぴくっと彼女の動きが止まる。
その隙にグッと腕を引き寄せそのまま倒れるようにして受け止めた。
「あ、危ないだろうが!!何をやっておるのじゃお前は!」
「ん?まぁお詫びの代わりようなものかな」
「お前やっぱり私のこと子どもと言っておったのか!」
…さてここからどうしたものか
彼女を抱きしめたのはいいものの全く何の計画もない状態だった。
とりあえずぎゅっと少し強めに抱きしめると急にしん…と静かになる。
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