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丑三つ時風もないしんと静まり返った夜。
女中がたまたま厠から帰ってきた時のことだった。
普段なら締まっているはずの部屋が
2つ少しだけ開いているのが見えたのだ。
それは紛れもなく殺された男の両親が眠る部屋だった。
女中はその瞬間あの噂を思い出した。
本当に祟りだとしたら…
村で流れている噂、その噂にはもう少し続きがあった。
その祟りはいずれ屋敷の人間全員に
向かうのではないかということだった。
もし、本当に赤子と女を殺したのなら
きっと屋敷にいるものはそのことを知っているはずだと。
自分を助けなかった屋敷の者全員が憎いはずだと。
女中は一度見ぬふりをしてそのまま立ち去ろうとした。
しかし、何故か足はその部屋へと進んでいた。
音を立てぬよう恐る恐る部屋へと近づいていく。
するとだんだんと近づくにつれ妙な音が聞こえ始めた。
ぐちゃぐちゃと何か生肉を触っているような…。
もう気持ちは今すぐに逃げたいにもかかわらず
足はどんどんその部屋へと近づいていく。
とうとう部屋の前に着く。
部屋の前にはむせ返りそうな異臭が立ちこめていた。
その瞬間あの噂が現実となったことを確信する。
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