1章

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丑三つ時風もないしんと静まり返った夜。 女中がたまたま厠から帰ってきた時のことだった。 普段なら締まっているはずの部屋が 2つ少しだけ開いているのが見えたのだ。 それは紛れもなく殺された男の両親が眠る部屋だった。 女中はその瞬間あの噂を思い出した。 本当に祟りだとしたら… 村で流れている噂、その噂にはもう少し続きがあった。 その祟りはいずれ屋敷の人間全員に 向かうのではないかということだった。 もし、本当に赤子と女を殺したのなら きっと屋敷にいるものはそのことを知っているはずだと。 自分を助けなかった屋敷の者全員が憎いはずだと。 女中は一度見ぬふりをしてそのまま立ち去ろうとした。 しかし、何故か足はその部屋へと進んでいた。 音を立てぬよう恐る恐る部屋へと近づいていく。 するとだんだんと近づくにつれ妙な音が聞こえ始めた。 ぐちゃぐちゃと何か生肉を触っているような…。 もう気持ちは今すぐに逃げたいにもかかわらず 足はどんどんその部屋へと近づいていく。 とうとう部屋の前に着く。 部屋の前にはむせ返りそうな異臭が立ちこめていた。 その瞬間あの噂が現実となったことを確信する。
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