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「ん~優羽くんは、どう思ってるスか?」
「存在が極秘である『96』の一員である僕が、優羽君に『今の生活を全部捨てて、裏社会に住む気ある?』なんて質問をしただけで、彼の意志には関係なく二度と表社会には戻れなくなっちゃうんだよ?巻き込まないためには、黙って僕が身を引くしかないじゃないか……」
チョコレートクッキーをムシャムシャ頬張りながら、マリネが言った。
「ん~もしも百億分の一くらいの可能性で、優羽くんがカギヤさんに好意を持ってると仮定するじゃねスか?」
「せめて百分の一にしてよ……」
「仮定だからどっちでもいいス。資料に書かれてたスけど、表社会で唯一の身内である母親が亡くなったんスよ?それで裏社会に好きな相手がいたら、ボクなら迷わず裏社会を選ぶスよ?」
「それは君が裏社会で生きる術を持っているからだよ。彼に裏社会は似合わない」
「そんなのカギヤさんが勝手に思ってるだけじゃねスか。本人に聞かなきゃ分かんねスよ」
「……マリネちゃんありがとう。君が親身になって僕を励まそうと気遣ってくれるなんてすごく嬉しいんだけど、僕の素性を優羽君に明かせない以上……どうしようもないよ」
「ん~別に全然気遣ってねスけど。辛気臭い空気をどうにかしたいだけス。とりあえず晩ご飯の準備よろしくス」
「本当に君はマイペースだね!」
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