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【01】鍵穴と秘めた恋
「96(キューロク)」とは、警察組織が作った非合法な非公式チームの名称である。
非合法組織「96」と警視庁をつなぐ役割であるなにもかもが地味な上官・片岡警視長が、ヒドウを「96」にスカウトした際こう言った。
「なにも我々は、私利私欲のために法を犯す存在を作り上げたわけではない。そもそも法というものは、社会や人々の生活を守るためにあるのではないのか?その法をないがしろにして好き放題にやらかす悪党どもを『人間』だからというだけで、法を遵守して日々生きている『人間』と同等に扱う必要はないと私は思い続けてきた」
しかし警察という立場である以上、どのような理由があるにせよ法律に反する行為は認められない。
例えば重要な証拠であっても入手方法が違法であった場合は、裁判において採用されないように。
そこで警察組織とは別に、違法行為も含めて手段を一切選ばず、警察の捜査に協力をする極秘な存在「96」を発足したのだという。
その存在は、警視庁内部でもごく一握りの人間にしか知られていないトップシークレットだ。
決して世間に知られてはならない存在である「96」に一度関わった者は、二度と表社会の一員には戻れない。
後になって恐怖が湧いたからといって、組織を辞めることはもちろん許されない。
逃亡を試みた者や自分の身近な者に組織の存在を教えようとした者なども「96」の存在を隠すためにはやむをえないという理由で、口を封じられてしまうだろう。
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