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頭が良い、優れた技術を持つ、戦闘に優れている、狡猾である、地位が高いなど、特化していれば善悪は問わないため、警察が捜査しづらい相手であるほどアザミの罠にかかった。
警察が出来ないことを手段を選ばずに実行する。
そして、本来なら入手できない情報や証拠を手に入れる。
それが「96」の最大の存在意義なのである。
「あ~、ホントにこのお店、落ち着くよね」
30代前半に見える人の良さそうなスーツ姿の男性が温かいおしぼりで手を拭きながら、この店の女主人に話しかけた。
「良かったわぁ。最近、梶矢さんってば全然来てくれないから、他のお店に浮気されちゃったのかと思ったわよぉ!」
色白でぽっちゃりとしたママが大袈裟な手振りで愛嬌たっぷりに言いながら、長い年月を感じさせる濃い焦げ茶色をした木製のカウンター内を歩いてくる。
「浮気だなんて!一ヶ月の出張で街を離れていたんだ。ついさっきこっちに戻ってきたばかりばかりなんだけど、ママの顏が見たくて早速来ちゃった」
「あらぁ、嬉しい!もっと気合い入れてお化粧すれば良かったわぁ!ふふ、今日は特別にチョコレートをおまけしちゃう」
「わ!ありがとう!」
カウンター席に座っているカギヤは厚いガラスのグラスで出されていた冷たい水を飲み、ようやく一息ついた。
ちなみに梶矢は、ヒドウの先輩であるカギヤの本名だ。
解錠おたくで無類の鍵好きということと、本名の梶矢を合わせて「96」内では「カギヤ」と呼ばれている。
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