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カギヤが自分に対して非を責める様子をまったく見せないことで安心したのか、管理人は犯人探しに協力すべく、鍵が壊された日のデータをすぐに探し始めた。
「この日の優羽君は、午前11時から閉店となる午後9時30分が勤務時間だったと聞いているので、その前後を少し含めた記録に絞りましょう」と、カギヤが提案する。
そして二人は、椅子を並べて早送りの映像を凝視し始めた。
優羽の自転車に近付く者がいると通常の速さに戻して見直すのだが、どの人物も自分の自転車を探しているだけのように見える。
「うっかり自分がどこに自転車を止めたのか分からなくなって、似たような色の自転車を探して歩く人も結構いるんだよ。だから一概に犯人とは決められないねぇ。今後はもっと気をつけないとなぁ」
「防犯カメラで見ても分からないのですから、仕方ありませんよ。お時間を取らせてしまい、すみませんでした。ありがとうございました」
そう丁寧に礼を言って駐輪場を出たカギヤは上着のポケットからスマホを取り出し、メールを一通作成して送信した。
直後に着信があり、そのまま電話に出る。
「ヒドウです。春野綾子さんに関する生命保険の件ですが……」
都合が悪い時は「96」メンバーは電話に出ないことを前提としているため、続けてヒドウが用件を伝える。
「彼女も優羽さんも加入していたのは、怪我や病気で入院した際に保障される掛け捨ての低価格な医療保険だけです」
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