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そんなカギヤが、無法地帯ならではの束縛があることを実感し、これほど強く裏社会で生きることを選んだ自分の決断を後悔したのは、初めてであった。
すぐ目の前にいても、優羽君は自分とは別の世界の人間なんだ。
想いを伝える行為は、彼を危険に巻き込んでしまう。
だから好きな相手であればあるほど、絶対に好きになっちゃいけないんだ。
「……もうこれ以上、僕は君に上手く嘘を吐く自信がないから会うことはできない。でも心から応援してる。お母さんの件も、きっと解決して見せるから……幸せになってね」
そう呟いて、足早にキーホールから離れたカギヤが、振り返ることはなかった。
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