【00】プロローグ

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【00】プロローグ

「予定としては、明後日から一ヶ月間か」  あご髭を綺麗に整え、大人の余裕と色気を感じさせる体格の良い壮年の上官がゆったりと言った。  低く響く柔らかな声と話し方は男女を問わず魅了し、この男の武器の一つとなっている。 「はい。情報サポートとしてマリネさんの協力もありますが、メインはカギヤさんと自分の二名での作戦参加となります」  伊達眼鏡が意味をなさないほどのクールな美貌の持ち主である青年が、落ち着きのあるはっきりとした口調で返答した。 「今回、俺は参加していないし短期間ということで、緊急連絡以外は作戦完遂(さくせんかんすい)の報告までノータッチだ。くれぐれも気を付けてな」 「はい。班長のご期待に添えるよう尽力致します」  青年は美しくも力強い表情でそう言うと、上官に対して礼をした。 「……っていうか、一ヶ月って長くね?全然、短期間じゃねぇよなぁ?」  途端に上官であるアザミ班長の口調が砕け散った。 「そうですね。ですが、通常『96(キューロク)』の作戦は大体二ヶ月以上かかりますし、今回は作戦中に発生する細かい任務の追加もなさそうですから」  アザミの現在の恋人でもある班員のヒドウが、真面目に答える。
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