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【02】ゴウガミ
アザミの住む高級マンションは都心から離れた郊外にあり、周囲に高い建物はない。
万が一、敵に自宅がばれてしまった場合の、監視、狙撃対策も考えて選んだ場所ではあったが、五階の窓から西陽によって鮮やかなオレンジ色に街が変化していく様を眺められるのは気に入っていた。
カギヤが純喫茶キーホールにてコーヒーと会話を楽しんでいる頃、落ち着かない様子のアザミは窓の外が美しく染められたことに気付くこともなく、ベッドルーム内をうろうろとしていた。
手に持っているコーヒーカップが、すでに空になっていることにも気付いていない。
「そろそろだよなぁ……確か……」
壁の時計に目を向けかけた、その瞬間、
ピピピピピ……
ベッドのサイドテーブルに置いてあった携帯の呼び出し音が鳴り、ディスプレイにヒドウの班員ナンバーが表示された。
慌ててコーヒーカップを置いて代わりにそれをつかむと、はやる気持ちを抑えながら通話ボタンを押す。
「アザミ班長。ヒドウです」
アザミが待ち望んでいた声が聞こえた。
都合が悪い時は「96」メンバーは電話に出ないことを前提としているため、続けてヒドウが用件を伝える。
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