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「またそんなことを……平気なわけないじゃないですか。貴方が率いるアザミ班の実績に貢献したいという気持ちから言ったんですよ」
25歳の部下が、拗ねた40歳の上官をなだめ始めた。
するとアザミは、突然ヒドウの両頬を厚い両手で挟み固定し、
「浮気なんてするかよ!俺には、こんなに愛してる奴がいるのに」
と、まるで悪戯が成功した子供のような笑顔になって、驚いている恋人に軽くキスをした。
「さて、オメェ明日は移動だろ?今夜は酒も用意してるし、風呂でも入ってのんびり休んでいけ……ん?どした?」
ヒドウは無言でアザミを抱き寄せると、整った唇を耳元へ寄せて囁いた。
「……煽ったのは貴方です。嬉しい言葉のお礼に、一ヶ月分まとめて今夜は愛させていただきますからね」
そう微笑んだヒドウの顏は現実味を感じさせない美しい猛獣のようで、見とれてしまったアザミは断る言葉を失い、頷くしかなかった。
間接照明が薄暗く照らし出すベッドルームに荒い息遣いと焦れた足がシーツをこする音、艶やかな喘ぎ声が響く。
「っふぅ……あぅ……んぁ……」
アザミの頬は涙に濡れ、綺麗に揃えられたあご髭も汗と口端から流れ落ちた唾液で濡らされていた。
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