733人が本棚に入れています
本棚に追加
すべての繋がりを解くと、コプリと小さな音を立てて完全に閉じきれない穴からヒドウが大量に注ぎ込んだものが吸収されることなく溢れ出した。
その光景やフェロモンを含んだ濃厚な匂いに再び煽られてしまいそうになる気持ちと股間を全力で抑えつつ、ヒドウはタオルでアザミを拭くと一旦シーツに横たえる。
するとアザミの目がうっすらと開かれ、ヒドウを見つめた。
「……これから何があっても、俺はヒドウを愛してるんだって信じてほしい。全部オメェのものでありたい、本当の気持ちだ」
上半身を起こした状態でアザミの隣りに並んだヒドウは、アザミの髪を静かになでながら、
「嬉しいです。自分もすべて貴方のものです。貴方の言葉を信じます」
と、優しい声で囁き額にキスをする。
アザミは微笑むと安心したように再び目を閉じて、そのままウトウトし始めた。
窓の外から、パトカーが緊急走行していると思われるサイレンが小さく聞こえた。
ついこの間まで法の下で生きる警察官であったヒドウは「自分もあのハンドルを握っていたんだな」と、懐かしさを感じる。
しかし今の彼は決して表に出ることのない無法地帯、アンダーグラウンドの住人として生きているのだ。
当たり前だと思いがちな幸せや日常があっさり壊れてしまうことを、ヒドウは誰よりも知っている。
だからこそ、こんなにも愛しいと思える存在との出会いに感謝し、大切にしたいと心から思っていた。
そして、ヒドウが先輩カギヤと共に「96」の作戦に参戦してから長い一ヶ月が過ぎた。
最初のコメントを投稿しよう!