それはまるで

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   どうしても満たされない気持ちがある。  それは私の胸の奥にずっと潜んでいて、時々顔を出しては私を苦しめている。  いつ生まれたのか、いつからこんなに存在感を放つようになったのか。こんな感情、丸ごと消えてくれればいいのにと思う。  そう自分で思っているのに、この濁った気持ちは消えるどころか年々質量を増加させていた。泥のように固まっては積まれていくそれを、自分でもどうしたらいいのか分からないでいる。  不意に階下が騒がしくなり、私はぼんやりとしていた意識を取り戻した。  私は椅子の上に体育座りをして、何をするでもなく参考書を見下ろしていた。机の隅に置いていたスマートフォンが震え通知を表示する。メールだろう。これでかれこれ、二十人目くらいだろうか。 『遅くなったけど、あけましておめでとう! そっちはあったかいのかな。こっちは今夜、初雪が降るみたいだよ!』  不意に全てが馬鹿馬鹿しくなったような気がして、私は参考書を閉じた。 「可奈。皆もう来てるわよ」  ママがドアの向こうで呼んでいる。  一年に一度だけ会う、透明で、天使みたいな人。そう感じるのは、やはり私の心が汚れているからなのだろう。 「あけましておめでとう。可奈ちゃん」  一階に降りると、透くんが穏やかな表情で私を出迎えた。  
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