それはまるで

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   透くんは私の従兄弟で、毎年三が日を過ぎた頃にうちに挨拶に来るのが通例となっていた。  透くんの他にも、三人。早苗ちゃん、太一くん、美保ちゃん。この少子化の中、透くんの家は四人兄弟で社会に大きく貢献している。だからといっていいことばかりではないのは知っているけれど。 「はい、みんな。お年玉よ」  挨拶や食事会がひと段落すると、恒例のお年玉タイムとなる。ママが用意したポチ袋を、四人はそれぞれ大事そうに受け取った。 「おばさん、ありがとうございます。ほら、みんな。ちゃんとお礼!」  透くんの声とともに、透くんとは年の離れた小学生の三人が辿々しく礼を言う。そんな微笑ましい様子にママが笑い、みんなの頭を撫でる。毎年の景色。  私はそれを、複雑な気持ちで見つめている。  私はいつから、お年玉に興味が無くなってしまったのだったか。 「……可奈ちゃん、彼氏できた? 『今年の目標』だって、去年の今頃言ってたでしょ」  そろそろ帰ろうかと四人が上着を着始めた頃、透くんにそう話しかけられた。  
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