それはまるで

　
　私はどちらかというと辛辣な質問をしてしまったつもりだったが、透くんのその言葉に、思わず見つめ返した。

　私の質問はただただシンプルなものになってしまったが、透くんはその全てを理解したように、一言だけ答える。

「そうだな……つらいこともあるけど、僕はどんな風に思われても、三人を守りたいから」

　透くんは横ではしゃぐ三人を見つめる。

　三人は腹違いの子で、透くんとは年が離れている。だからか、透くんの目はまるで我が子を見守る父親のようだった。私はその美しい、クリスタルの瞳を見つめる。

　……私だったら？

　耐えられる？

　お金や、境遇の話じゃなくて。

「……毎年、迷惑かけてごめん。可奈ちゃん、もうお年頃なんだから欲しいものなんていくらでもあるでしょ。嫌なら返すから」

　透くんが鞄からお年玉を出そうとするので、私は慌ててそれを止めた。

「違うの。違うんだ。私、ママとパパからいつもたくさんお小遣いもらってるから、お年玉なんてどうでもいいの。こんなこと言うと親戚の人に怒られちゃうけど。私が透くんにあげたくて渡しはじめたんだから、自由に使ってよ。ただ」

　そこまで言って、私は言葉を止めた。

　何となく、自分の汚れた感情を見透かされそうだったから。でも、素直に答えた。

「……ただ今日は、透くんの、綺麗なところに触れたいなあって思っただけ」