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そういう会合が行われるという話は聞いていた。しかし、まさかその会合が開かれる場所が、この修道院だったとは。たしか、『アルゴス院』という中立組織が仲介役として、会合のための場所まで提供してくれる……という話だったはずだが。
「じゃあ……アルゴス院っていうのは、もしかして?」
冬吾の問いに、神楽は頷く。
「ふむ……その名前くらいは知っているわけか。そう、そのとおり。聖アルゴ修道院というのは、あくまで表向きの名称に過ぎない。情報活動組織、アルゴス院というのがその実体だ」
「情報活動組織?」
聞き覚えのない響きだ。
「アルゴス院は少々特殊な性格を持った組織でな。簡潔に言うと、奴らの主な活動は観測だ。その目的は、表の歴史に残されない歴史を記録することにある。裏社会を観測する目となって、それに関係するありとあらゆる情報を収集しているわけだ。その奇異な組織の起こりがこの修道院だった。組織はギリシャ神話上の百の目を持つ巨人の名から取って、アルゴス院と名付けられたそうだ」
「伏王会とナイツに協力するのも、その観測の一環……ってことか?」
「おそらく、そうだろう。アルゴス院という仲介役の存在は、我々としても必要だった。当事者たちだけでは、言った言わないの水掛け論になりかねないからな。重要な会合に際して、立会人は不可欠だ。アルゴス院はあくまで中立の組織としての立場を徹底しているから、いずれかの組織に深く肩入れすることもない。それに、この修道院は位置的に伏王会・ナイツそれぞれの本部からそう遠くないというのも好都合だった。よって、もう長年この関係は続いている」
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